【アメリカのモンテッソーリ教育】実際に通っていた幼稚園体験記

 
Nokko
アメリカ滞在中、我が家の長男(2歳半から5歳までの2年半)次男(1歳3か月から2歳半までの1年3か月)は、モンテッソーリ教育のプリスクール(日本でいう幼稚園)に通っていました。アメリカのモンテッソーリ幼稚園がどんな感じだったかをレポートしたいと思います。

そもそもモンテッソーリ教育ってどんなもの?

 
Nokko
いろいろ読んでいてもよくわからなかったので、モンテッソーリ教育の前提や目的、具体的な教育方法など、基本のキを、私がわかったところだけ下にまとめてみました。※日本モンテッソーリ教育綜合研究所の記事を参照をしています。
  • 「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」の存在がモンテッソーリ教育の前提。教師(大人)の価値観で一方的に教え込もうとするのではなく、子供の興味や発達段階を正しく理解し、子供が触ってみたい、やってみたいと思う環境を適切に用意し、子供の自発的活動を促す。
  • 子どもは、自分で選んだ活動に満足いくまで繰り返し取り組みながら様々な能力を獲得していく。
  • モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」こと。その目的を達成するために、モンテッソーリは子供を科学的に観察し、そこから独特の教具を開発するなどして教育法を確立した。
  • 日本では小学校以降が義務教育のため、モンテッソーリを取り入れるのは難しいため乳幼児教育のイメージが強いが、アメリカやヨーロッパでは小学校から大学まで準備されているところもある。イタリアで誕生してから100年以上経っており、140か国で取り入れられている。
  • 乳幼児期でも、0~3歳の前期と、3歳から6歳までの後期と分けている。

モンテッソーリにおける【0歳から3歳(前期)】7つの教育分野

  1. 粗大運動の活動(歩く、階段の上り下りなどの全身を用いた大きな動き)
  2. 微細運動の活動(手、指を使い、握る、落とす、たたくなど)
  3. 日常生活の練習(着衣枠、観葉植物の世話など)
  4. 言語教育(子供の言葉の発達段階に合わせてステップを用意する)
  5. 感覚教育(発達段階や興味に応じた感覚教具に触れ、感覚の洗練を促す)
  6. 音楽(音楽を聴く、楽器を鳴らす、歌う、踊る)
  7. 美術(絵を描いたり粘土をこねたりする)

モンテッソーリにおける【3歳から6歳(後期)】5つの教育分野

  1. 日常生活の練習(歩く、はさみで切る、コップに水を注ぐ、ボタンをかける、室内を掃く、洗濯をするなど)
  2. 感覚教育(教具を使って「対にする」「段階づける」「分類する」という三つの操作を練習する)
  3. 言語教育(上記の日常生活の練習や感覚教育で養った手や腕をコントロールする力を利用して、身に着くような工夫がされている。興味を持った時期に知らず知らずのうちに文字を書いたり読めるようになる)
  4. 算数教育(モンテッソーリの算数教具は、ただ単に数を唱えるものではなく、数量が具体的に表され、手で扱えるようになっている。)
  5. 文化教育(歴史、地理、地学、動植物など)
モンテッソーリの算数系の教具
 
Nokko
モンテッソーリのプリスクールは、アメリカではけっこう見かけます。私の町にはモンテッソーリ小学校はありませんでしたが、プリスクールは通える範囲に3つほどありました。長男が幼児期の後期、次男が幼児期の前期にあたります。確かに園にはそういった教具なるものが置いてあり、特に算数系の教具は分かりやすいなと思います。私が、先生に一度「そのおもちゃ(toy)」と言ったら、ここにはtoyはありません、workです、と言われたのを思い出しました。

モンテッソーリの資格ってあるの?どうやってとるの?

ちょっと気になったので調べてみました。モンテッソーリを作ったマリア・モンテッソーリさん自身が設立した、国際モンテッソーリ協会(AMI)が、一番有名なもののようで、こちらは国際ディプロマが発行されるので、どの国に行っても使えるものです。こちらは取得まで一年から二年ほどかかるようで、費用も70万以上と、けっこう掛かりますね。

しかし、上記AMIの友好関係団体として承認されている協会や独自の教会もあり、それぞれ日本だけで使えるモンテッソーリの資格や、教会独自のモンテッソーリの資格など、いろいろあるようです。

学校に飾ってあった証明書

アメリカにも色々な団体があり、子供が通っているモンテッソーリプリスクールは、AMERICAN MONTESSORI SOCIETY の関連校でした。

モンテッソーリ幼稚園、我が子たちの一日のタイムスケジュール

次男のトドラークラスの場合(歩けるようになってから、2歳半まで)

8:40~9:00circle time サークルタイム
9:00~9:30Indvisual work with children 個々の活動
9:30snack time  スナックタイム
9:50Music movement 音楽
10:40cleanup, story, work on numbers, and sound for the day, song for parts of the body
掃除、お話、数字について取り組む、その日のサウンド、体のパーツの歌 など
11:00~11:20
Go for walk outside 外にお散歩
11:30~12:00individual choices 個々のチョイス
12:00~12:30Lunch
12:45~1:00
get ready for nap お昼寝の準備
1:00~2:00nap time お昼寝
2:00~3:30afternoon snack ,work time おやつとワークタイム

 
Nokko
このちょくちょく出てくる、個々の時間やワークタイムという時間に、その日の分のプリントや塗り絵をしたり、モンテッソーリの教具で遊ぶようです。教具で遊ぶときは、友達と遊ぶのではなく、一人で黙々とその教具に取り組んでいます。教室にはほぼモンテッソーリの教具しかなく、それ以外にもレゴ、電車、恐竜などのおもちゃも少しはありましたが、普通の幼稚園よりずっとシンプルな印象です。
最初、見学に来たときは、ここ楽しいのかな~!?と思いましたが、次男は1年楽しく通っていました。
次男の英語に関しては、英語で言われた指示は分かっているようですが、もともと言葉が遅めで、自分から英語で出た単語は、no, go away, mine, oh no くらいでした。

今2歳4か月の次男。大小や、形、アルファベットを少しやっている様子

長男のプライマリークラスの場合(3歳半~6歳)

8:00~9:00presentations 輪になってトピックについて話す
9:00~10:30independent work 個々のワーク
10:30story time お話の時間
10:45~11:30outside play 外遊び
11:30~1:00lunch & recess ランチと休憩
1:00~1:30story + rest time お話と休む時間
1:30~3:00火曜日:スペイン語、木曜日:音楽とダンス、金曜日:ヨガ (夏の間だけ水泳も)
independent work 個々のワーク
3:00~3:30Movement on music 音楽

今4歳9か月(日本では年中さんの秋ごろ)数字やアルファベットをやっている様子
週に何回かアートの時間も。筆で色を塗ったり、貼り絵、スタンプなど
塗り絵は毎日持って帰ってきます
週に2回、家での宿題も出ます。数字か、アルファベットに関するもの
Nokko
この長男のクラスになると、個々のワークの時間は、みんな本当に一人ひとり集中して教具に取り組んでいます。あまりに静かに黙々と取り組んでいるので、最初は本当にびっくりしました。
週にスペイン語や、ダンス、ヨガなど、アクティビティがあるのもよかったです。英語に関しては、2年半、アメリカのプリスクールに通いましたが、聞き取れているはいるようですが、自分が会話するとなると、単語や〇〇プリーズくらいで、文でちゃんとして話すようなことはありませんでした。

これはモンテッソーリの効果!?と感じた点

次男の2歳児のほうは小さいのと、1年ほどしか通っていないのとで、モンテッソーリ教育の効果を感じることはありませんでしたが、長男は2歳半から5歳になるまで2年半、アメリカのモンテッソーリ教育の幼稚園に行ったことで、いろいろ良かったなと思うことがあります。

  • 毎日塗り絵のプリントを1枚持って帰ってくるので、日々の進化を感じられる。(最初は、1色で、線も無視してぐちゃぐちゃっと塗っていただけでした。)
  • 個々のワークの時間の効果なのか、家でも集中してずっとレゴをしたり、パズルをしたりする。
  • 数字に興味を持っている。
  • 文字にも興味を持っている。(最初のころは、すごく薄い字だったのが、最近では濃く書けるようにもなってきた。)
 
Nokko
私は長男には、家でこどもちゃれんじの通信教育なども一切取っていなかったので、数字や文字(アルファベット)に興味を持ったのは、ここのモンテッソーリ幼稚園のおかげだと思っています。少なくとも、三人兄弟の真ん中の子で、おっとりしているうちの長男には向いていたのかな、と思います。毎日持って帰ってくるプリントもずっと同じようなことを繰り返しているのですが、年を追うごとに少しずつ上手になってくるのを感じられるのが良かったです。
また、この季節ごとのイベント、イースターやハロウィン、クリスマスや、年に二回の発表会などもあり、充実したプリスクール生活を送れたと思います。